日本文典初歩

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日本文典初歩

日本文典初歩 (An Elementary Grammar of the Japanese language.)

 馬場辰猪著。西暦一八七三年(明治六)倫敦?出版。著者英國に在留中國語問題?につき我同胞間に行はれる謬見を慨して英文を以て本書を著し、一方には國語の概念を外人に與へ、他方には邦人の國語に對する謬見を指斥せむことを努めた。當時森有禮が「日本の教育?」(Education in Japan?)の序に、我國語支那語の助を借らねば思想交換の目的を達することが出來ない、これは實に国語の缺点の多いのを示すといへるを駁し、「ジョン・ロック?」John Locke?國語の目的に關する三條件を引いて、我國語の優秀な所以を論じ、二個の國語の優劣を判するのには種々の方面に亘って綿密な研究を要することを説き、法律上の用語は我國語では示されないといふ説に對し「オースチン?」Austin? 「ウェーランド?」Wayland? の説を引用し、或は「ホイツネー?」Whitney?手紙を擧げて、森氏が諸國語英語を採用するといふ意見に対しその不可な所以を痛論し、日本語で普通教育?を完成するに毫も不可無しと痛破してゐる。当時國學者?がなほ因循で毫も覚醒しない時に方ってこの政治家に依って斯る意見の發表を見、且一部の口語文典を著されたのは實に感歎に堪へ無い。「大日本書史?」にも英文で記述した最良著であると評してゐるのは尤である。本書は西暦一九〇四年(明治三十七)の第三版に於て浮田和民、「ヂオシー?」Diosy?二氏の手で大に増補された。本書の内容は簡易を旨としたれど全篇を聲音?品詞文章の三部に分ち、殊に文章論?には文の組織に關する十八条の規則を掲げ、最後に數多の練習問題を載せてゐる。明治時代の國語學史上注意すべき著述である。

【參考】

*   Education in Japan 森有礼

亀田次郎国語学書目解題」)