あゆひ抄

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あゆひ抄

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脚結抄 五巻六冊

 富士谷成章著。安永七年刊。著者の分類による國語の四品詞(かざし、あゆひ、よそひ、名)の中「脚結」について専ら研究したものである。脚結とは今日の助辭・助動詞感動詞及び接尾語等に當るものであるが著者はこの脚結を更に五類五十種に細分して項目に随って脚結をあげ、各語の意味用法を説いて之に古歌を引いて證明してゐる。猶、成章は本論に入るに先だって、冒頭に極めて重要な所説をなしてゐる。即ち(一)品詞論(二)言語の起源説(三)脚結を細分して五類五十種にした次第(四)國語の時代的變遷に注目して六期に分けた事(成章は之を「六運」と稱ふ)(五)古歌を口語に訳する事の困難(六)詞の接續論(七)「装」(動詞形容詞にあたる)を「事」「状」に大別し、「事」を更に二種に「状」を亦四種に分け、それ等の活用を八等となし圖示して「装圖」とした事(八)挿頭・脚結が他品詞に通ふ事(九)從來五十音圖でを・おの所属を誤れりと云って訂正した事等で、就中(一)品詞を四種に分類した事は品詞分類の先駆をなしたものであり、後の鈴木朖東條義門等に影響を與へ(二)装の研究者には谷川士清賀茂真淵等があったが、成章が之を事(動詞)と状(形容詞)に分け更に動作を表はす動詞、存在を表はす動詞、或は形容動詞、く活用、しく活用等に分けたのには遙に及ばない。のみならす後に出た鈴木朖義門さへも一歩を讓るものがある。又その装圖は「活語斷續譜」「言葉の八衢」に直接間接に影響してゐる。(三)又國語の時代區分も徴細に過ぎて、缺點がないと云ふのではないが、この時代としては誠に卓見である。(四)お・をの所屬を改めた論はその卓見敢て宣長にゆづるものではない。斯く本書は極めて卓越した學的價値を有し乍ら、その説比較的學界から遠退いてゐた事は惜しむ可きである。最近本書の頭註本が出版されたがこれに依て初學者にはその難解の箇所が明かになったのである。

【末書】

* 「脚結抄翼富士谷御杖著。脚結抄の註解で口語で脚結の意を説き古歌等を引用してゐる。

* 「脚結抄考保田光則著。脚結抄を註解し誤リを正し不備を補ってゐる。

【參考】

* おを所屬辨についての一疑問。亀田次郎「芸文」二〇ノ七。

亀田次郎国語学書目解題」)

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